加入度数(ADD)とは?遠近両用コンタクトの度数表記の読み方

眼科でもらった処方箋やコンタクトの箱に「ADD」という見慣れない項目があって、戸惑っていませんか。
- 「ADD +1.50」と書かれているけど、これは何の数字?
- 「S」「C」「BC」など、アルファベットの意味がわからない
- 遠近両用の「LOW / MID / HIGH」って度数のこと?
40代後半から50代にかけて遠近両用コンタクトを検討し始めると、こうした度数表記の読み方でつまずく方は少なくありません。表記の意味がわからないまま製品を選ぶのは不安なものです。
この記事では、老眼デビュー世代に向けて 加入度数(ADD)が何を表すのか と、処方箋・コンタクトの度数表記の読み方 をやさしく整理します。読み終えるころには、自分の処方箋の数字が「どこを見るための値なのか」がひと通りわかるはずです。
結論:加入度数(ADD)=手元を見やすくする「追加の補正量」
先に結論からお伝えします。
加入度数(ADD)とは、遠くを見るための度数に「加えて」、手元(近く)を見やすくするための追加の補正量 のことです。英語の「addition(追加)」が語源で、処方箋では「ADD」「加入度数」などと表記されます。
単位は度数と同じ ディオプター(D) で、+0.75 +1.50 +2.00 のように プラスの数値 で示されます。数値が大きいほど、手元を見るための補正が強い、という意味です。
老眼が進むと、この加入度数は少しずつ大きくなっていく傾向があるといわれています。
なぜ加入度数が必要になるのか(老眼の仕組み)
目のピント調節力が年齢とともに変化する
なぜ「近く用の追加補正」が必要になるのでしょうか。
理由は、加齢によって 目のピントを合わせる力(調節力)が少しずつ変化する ためです。若いころは遠くも近くも自動でピントが合いますが、年齢を重ねると手元にピントを合わせにくくなってきます。これがいわゆる 老眼 です。
自覚し始める時期には個人差がありますが、一般に40歳を過ぎるころから手元の見えにくさを感じる方が増えるといわれ、日本眼科医会は通常45歳くらいで近くが見にくくなるとしています(日本眼科医会など公的機関の情報を参照)。近視の人でも水晶体の老化は進むため、「近視だと老眼にならない」というのは誤解です。
具体的には、次のような形で現れると言われています。
- スマホやメニューの小さな文字がぼやける
- 手元の作業を続けると目が疲れやすい
- 夕方になると近くが見づらくなる
こうした症状には個人差がありますが、多くの人が経験する自然な変化です。
「遠く用の度数」だけでは手元が補えない
近視や遠視を矯正するコンタクトは、基本的に 遠く(または通常の視距離)にピントを合わせる 設計になっています。老眼が進むと、この遠く用の度数のままでは手元がぼやけてしまいます。
そこで、遠く用の度数に 手元用の補正(加入度数)を組み合わせた のが、遠近両用コンタクトです。1枚のレンズの中で、遠くと近くの両方を見やすくする役割を、この加入度数が担っています。
処方箋・コンタクトの度数表記の読み方【一覧】
処方箋やコンタクトの箱には、ADD以外にもいくつかのアルファベットが並びます。代表的な表記をまとめました。
| 表記 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| S / SPH / PWR / P / D | 球面度数(度数) | 近視・遠視の強さ。マイナス(−)は近視、プラス(+)は遠視 |
| C / CYL | 円柱度数 | 乱視の強さ(乱視用レンズの場合に記載) |
| AX / AXIS | 軸 | 乱視の方向を表す角度(0〜180の数値) |
| ADD | 加入度数 | 手元を見やすくする追加の補正量(遠近両用で使う) |
| BC | ベースカーブ | レンズのカーブの度合い(目の丸みへの合わせ具合) |
| DIA | 直径 | レンズの大きさ(ミリ単位) |
補足すると、メーカーによっては加入度数を数値ではなく 「LOW / MID / HIGH」といった段階名 で表すことがあります(次章で解説します)。また、一部の製品では左右の効き目(利き目)に合わせて 「Dom(優位眼=dominant eye)/ N(非優位眼)」 のような区分を使う場合もあります。ここでの「Dom」は優位眼を指す略号で、上の表の球面度数の単位「D(ディオプター)」とは別物なので混同しないでください。
遠近両用コンタクトの加入度数の表記(LOW / MID / HIGH)
数値ではなく「段階」で表す製品が多い
眼鏡の処方箋では加入度数を +1.50 のように数値で書くことが一般的です。一方、遠近両用コンタクトでは、多くの製品が LOW / MID / HIGH の段階(グレード) で加入度数を分けています。
段階と数値のおおまかな対応は、あくまで一例として次のようなイメージです(下の数値は製品ごとに異なるため、実際の値は各製品の公式仕様・眼科の処方で確認してください)。
| 段階表記 | 加入度数の目安 | 大まかなイメージ |
|---|---|---|
| LOW(弱) | +0.75 〜 +1.25 前後 | 老眼の初期段階 |
| MID(中) | +1.50 〜 +1.75 前後 | 中等度 |
| HIGH(強) | +2.00 〜 +2.50 前後 | 進行した段階 |
なお、老眼が始まったばかりの段階では、低い加入度数から始めるほうが新しい見え方に慣れやすいとされています。上の表はあくまで段階名のイメージをつかむための一例で、自分に合う加入度数は眼科での検査で決めるのが前提です。
ただし、段階の刻み方や数値の範囲はメーカー・製品によって異なります。たとえば加入度数を2段階しか持たない製品もあれば、4段階まで細かく分かれている製品もあります。段階が多い製品ほど、今の自分の状態に合わせた微調整がしやすいと言えます。
製品ごとの加入度数の段階数や特徴を比べたい方は、主要4製品を横並びで整理した比較ガイドが参考になります。
- 遠近両用コンタクトおすすめ4選を比較|老眼デビュー世代の選び方ガイド — 加入度数の段階数・素材・価格で主要製品を比較
老眼の進行に合わせて段階は変わりうる
加入度数は「一度決めたら一生同じ」ではありません。老眼は年齢とともに進みうるため、定期的な眼科検査で、そのときの状態に合った段階へ見直していく のが一般的です。
だからこそ、加入度数の段階が細かく分かれた製品を選んでおくと、進行に合わせて調整しやすいという利点があります。
加入度数は自分で決められる?【眼科での検査が前提】
ここは特に大切なポイントです。
加入度数を自己判断で選ぶことはおすすめできません。 加入度数は、遠く用の度数・乱視の有無・目の健康状態・普段の見え方の希望などを総合して、眼科で検査したうえで決めるものだからです。
「手元が見づらいから、とりあえず強めのHIGHにしておこう」といった選び方は避けてください。加入度数が合っていないと、次のような不都合が起こることがあると言われています。
- 手元は見えても、遠くがぼやけて感じる
- 距離感がつかみにくく、装用感に違和感が出る
- 目が疲れやすくなる
コンタクトレンズは 高度管理医療機器 です。加入度数を含む処方内容は、必ず眼科で検査・処方を受けたうえで確定してください。購入後も、定期的な検診で見え方や目の状態を確認することが大切です。
加入度数と装用期間(1day / 2week)の関係
加入度数の「段階数」は、製品の装用期間によっても選択肢が変わってきます。1dayタイプと2weekタイプでは、ラインナップされている加入度数の段階数や、コスト・お手入れの手間が異なります。
- ケアの手間をかけたくない、衛生面を重視したい → 1day系が候補
- 月々のコストを抑えたい → 2week系が候補
どちらのタイプに、どんな加入度数の選択肢があるのか。ライフスタイルから選び方を整理したい方は、次の記事が役立ちます。
- 遠近両用コンタクトは1dayと2weekどっち?4つの条件で決める選び方ナビ — 装用期間・コスト・お手入れの4条件で選び方を整理
よくある質問
ADD(加入度数)とS(球面度数)は何が違うの?
S(球面度数)は「遠くを見るための度数」で、近視ならマイナス、遠視ならプラスで表します。ADD(加入度数)は、その遠く用の度数に「加えて」手元を見やすくするための追加の補正量で、必ずプラスの数値で表します。遠近両用レンズは、この2つを組み合わせて1枚のレンズで遠近をカバーしています。
加入度数の数字が大きいほど、目が悪いということ?
「目が悪い」というより、手元にピントを合わせるための補正が多く必要な状態、と考えるのが正確です。加入度数は老眼の進行に伴って大きくなっていく傾向があるといわれています。ただし適正な値には個人差があり、必ず眼科での検査で判断してもらってください。
眼鏡の処方箋のADDを、そのままコンタクトに使える?
そのまま流用はできません。眼鏡とコンタクトはレンズと目の距離が異なるため、必要な度数や加入度数の考え方が変わります。コンタクト用の度数・加入度数は、あらためて眼科でコンタクト用の検査を受けて決める必要があります。
LOW / MID / HIGH は、どうやって選べばいい?
自己判断で選ぶのではなく、眼科で老眼の進行度を測定して決めるのが基本です。目安としてLOWは初期段階、MIDは中等度、HIGHは進行した段階に対応することが多いですが、段階と数値の対応はメーカー・製品によって異なります。普段の作業内容や見え方の希望も影響するため、眼科医に相談して決めてください。
BC(ベースカーブ)は加入度数と関係ある?
直接の関係はありません。BC(ベースカーブ)はレンズのカーブの度合いを表す値で、目の丸みにレンズがフィットするかに関わります。加入度数(手元の補正量)とは別の項目ですが、どちらも眼科の検査で自分に合った値を確認することが大切です。
まとめ:ADDの意味を理解して、眼科で相談しやすくする
最後に要点を整理します。
- 加入度数(ADD) = 遠く用の度数に加えて、手元を見やすくする追加の補正量。プラスの数値で表す
- 処方箋の主要表記は S(遠く用の度数) と ADD(手元用の追加補正) の2つを押さえれば十分イメージできる
- 遠近両用コンタクトでは、加入度数を LOW / MID / HIGH の段階 で表す製品が多い(段階数はメーカー・製品で異なる)
- 加入度数は 老眼の進行に合わせて変わりうる ので、定期的な眼科検査で見直す
- 加入度数の値は自己判断で選ばず、必ず眼科での検査・処方に従う
表記の意味がわかると、眼科での相談や製品選びがぐっとスムーズになります。次のステップとして、加入度数の段階数や装用期間の違いから、自分に合う製品像を具体化していきましょう。
- 遠近両用コンタクトおすすめ4選を比較|老眼デビュー世代の選び方ガイド — 主要製品を加入度数・素材・価格で比較
- 遠近両用コンタクトは1dayと2weekどっち?4つの条件で決める選び方ナビ — 装用期間から選び方を整理
繰り返しになりますが、加入度数を含む度数は 必ず眼科で検査を受けて決めてください。この記事は、その相談を安心して進めるための「表記の読み方」の準備としてお役立てください。